データインテグリティ(DI)では、一貫性がある正確なデータが必要です。また、データは発生してから廃棄されるまでの過程で、欠損がないことが要求されます。このデータの発生から廃棄までの過程をデータライフサイクルといいます。ここでは、データライフサイクルについて詳しく説明しています。
医薬品製造の現場で、最初の記録であるオリジナルデータは、そこから保存する1次データ、解析された2次データ、当局への申請データなどと比較しても、最重要のデータといえます。オリジナルデータが改ざんされてしまうと、その後の一貫性が崩れるため、申請データから遡り、データの完全性を証明することができなくなるためです。これでは、データインテグリティ(DI)は保証されません。
データインテグリティ(DI)を保証するためには、データライフサイクルの管理の重要性を社内で共有することが大切です。データライフサイクルの基準と管理方法を理解し、改ざんを防ぐためのアクセス制限を設けることも必要です。データライフサイクルに係る情報を社内で横断的に管理する場合は、オリジナルデータだけでなく、2次以降のデータの保管場所も決め、一貫して管理することがデータインテグリティ(DI)の担保につながります。
オリジナルデータから解析や加工を繰り返すと、複雑なデータが段階的に発生します。複雑化したプロセスを管理するには、まずはデータが、どのように製造現場から移動していくかについて検討し、その作成から終わりまでの一つひとつの工程を把握することが重要です。
次に、社内にデータライフサイクル管理のためのITシステム基盤を整備するとよいでしょう。ITシステム基盤を整えることで、オリジナルデータから段階的に派生するデータの管理が視覚的に理解できるようになります。
また、データライフサイクルを管理するためには、社内の従業員教育も大切です。いくらITシステム基盤を整えても、従業員がデータを改ざんしてしまえば意味がないからです。マネジメントシステムの定着に必要な教育訓練を行うとき、コンプライアンスの重要性を教育していくことが不可欠です。
データインテグリティを保証するためには、データライフサイクルを把握し、その管理方法の詳細について適切な手続きを踏みながら計画していくことが重要です。当サイトでは、データインテグリティ対応を実現するための適切な手段として、システム導入による電子化・自動化のポイントを特集しています。ぜひご覧ください。