このページでは、データインテグリティを考える上で無視できない「バリデーション(適格性確認:IQ、OQ、PQ)」について解説しています。バリデーションの内容を確認した上で、適切な分析試験の環境や文書化体制を構築していきましょう。
バリデーション(適格性確認)とは、医薬品製造及び品質管理において、分析試験に対して求められる項目であり、またそれを実現するために必要な種々の検証作業を意味します。
例えば医薬品を製造する場合、手順や製造された製品、または分析試験といった工程に関して、それぞれが適正に「期待される結果」を得られるものか検証し、その結果を「文書化」しなければなりません。
また、「期待される結果」についてもすでに「文書化」されている必要があり、加えてその結果を正しく得られるのか検証する方法についても「文書化」されていることが必要です。
バリデーションでは、この「期待される結果」を3段階で検証します。
分析試験を行うための設備や装置、機器に関して、必要と考えられる性能や機能を「期待される結果」と考えます。例えば試験の目的を叶えるために十分な機能が機器に備わっていない場合、その機器には「期待される結果」がないと判断されるでしょう。
DQ(設計時適格性確認)はバリデーションを実施する上で、まず前提として実施されていなければならない確認及び文書化作業であり、バリデーションをプランニングする際に不可欠な基盤を構築します。
DQでは、「使用する設備や装置、システムなどの用途が目的に対して適正に合致していることを文書化する」という作業を行います。
メーカーが提出する仕様や設備・装置などに求められる機能・性能、規制対応機能に関する要求事項など、それぞれがマッチしているか検証し文書化することが重要です。
DQが適正に実施されなければ、そもそもバリデーションを行うことができません。
改めてバリデーションを実施する上で、第1段階となるのが「IQ(据付時適格性確認)」です。具体的には、装置や設備が正しく据え付けられていることを確認し、その結果を文書として記録する作業がIQとなります。
仕様にもとづいてメーカーや販売元から納品された設備などが適切に設置され、問題なく電源が入り、要求通りに起動するかまで確認することが主旨となります。
なお、検証の過程や結果について文書化まで完了しなければIQの達成とはなりません。
適正に設備や装置が設置されていると確認完了すれば、次にそれぞれの設備や装置、機器などが十分かつ確実に稼働して、仕様通りの機能や性能を備えているか種々の試験によって検証しなければなりません。このステップが「OQ(稼動性能適格性確認)」です。
つまり、設置された機器や設備が正しく動作して、必要とされる試験などを実行できる状態か確認し、結果を文書化する作業がOQとなります。
OQが完了しなければ、機器を使用しても結果が適正なのか信頼性を担保できないため、分析試験の完全性も維持できません。
定期点検と考えることもできます。
バリデーションの最終ステップとなる「PQ(稼動時適格性確認)」とは、設備などを使用している際に、対象機器が常に適正な性能を維持しているかどうか確認して記録する作業です。
設備や装置、機器といったものは突発的に不具合が生じることもあり、その信頼性を維持するためには日常的に性能や機能について検証し、正確であると確認しなければなりません。
PQは日々の試験や業務において欠かさず実施されるべきものであり、日常点検と考えることが可能です。