ドイツのインダストリー4.0などにより、製薬製造においても、産業用IoT(IIoT)やスマートファクトリー化に注目が集まっています。IIoT(産業用IoT)活用を上手に行うためには、何が課題となり、どういうことが必要になるのか。世界をリードするハイテク製品を発掘し、国内展開を行うテクノロジープロバイダ・リンクスに伺いました。
世界のバイオ医薬品産業による業界団体・BPOGが提唱しているデジタル化された工場の成熟モデルに、The Digital Plant Maturity Model*があります。このモデルによると、実装されているデジタルシステムと運用方法による医薬品工場の分類として、5段階のレベルが挙げられています。
*参照元:BioPhorum(https://www.biophorum.com/)
紙ベースの運用がなされている状態。自動化レベルは低く、基礎的なPLC制御が行われている状態です。
個々に独立した装置レベルで、レシピ管理が行われている状態。装置のバッチレポートや手順書の運用は、紙ベースで行われています。
ERPやMESと統合された自動化ができている状態。レシピや監査証跡、ヒストリアンの統合管理ができており、完全な電子バッチレポートが運用されています。
リアルタイムでのオンライン品質管理ができている状態。またリアルタイムかつプロアクティブな分析が実現可能となっています。
サプライヤからエンドユーザーである患者に至るまで、完全に統合されたデジタルシステムが実現できている状態。この段階では、モジュール型オートメーションによって、生産プラントを市場の要求に適応させることができます。
国内においては、多くの工場がレベル1~2の段階に留まっており、高度にデジタル化した工場は、まだわずかであるという現状です。
この背景には、優秀な作業員が、その場で起こるさまざまなことに迅速に対応し、装置や製品の安定性を担うことで競争優位を確保してきた、という日本の製造業ならではのやり方が、少なからず影響してきたのだと考えています。
デジタル化が加速する未来において、世界と戦っていくためには、いちはやくレベル3に移行し、レベル4に向けて体制を整備していくことが重要になります。
そのためには、例えば以下のように段階を経て製造現場を電子化・自動化し、全体最適を実現、生産効率改善や品質向上をもたらしつつ、未来への布石としていくという考え方が現実解になります。
HMI(ヒューマンマシンインターフェース)となりうるパッケージを用いて、装置のDI対応を実現する。このメリットとしては、既存設備を活用できること、紙の削減、ワークフローの簡素化できることといったコスト削減、時間短縮が期待できる点です。
個々に独立した装置を統合するソフトウェアプラットフォームを導入し、生産現場からMESやERP、その他ITプラットフォームまでを双方向に垂直統合する。このことで、製造ライン全体の生産実行システムを管理できるようになります。
実績ある標準パッケージを採用することで、信頼度の高い、かつグローバルスタンダードに沿った生産現場のデジタル化が可能になるでしょう。こうした将来の布石としても位置付けられるソフトウェアプラットフォームは、IIoT化でますます重要な位置を占めるようになるはずです。
とりわけ医薬品業界におけるIIot化には、データインテグリティのほか、独自の規制対応が存在することを考慮しなければなりません。この規制対応の文脈においても、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)となるSCADAが果たす役割が大きくなると考えています。
日本においては、工場やプラントなどにおいても、多くがSCADAを「表示ソフト」として認識していますが、その役割は表示だけではありません。履歴の管理や解析、作業指示などさまざまな機能を、簡単に一元管理できるシステムがSCADAであり、スマートファクトリー実現に向けた現実解となりうるのです。
世界の最新技術を社会実装する技術商社
「生産現場における生産効率の追及」を目指し、ドイツやスイス、カナダ、フィンランドなど世界各国の最先端技術発掘から、実装までを手がけるテクノロジープロバイダ。技術とビジネスを融合する力で、多領域にわたるイノベーションに関わっています。
2017年に、zenonの開発元であるCOPA-DATA社と日本国内および、東南アジア6カ国における総代理店契約を締結。医薬品メーカー、自動車メーカー、飲料メーカーなど、国内有数の企業に導入実績があります。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Ooj5Cly87Dk
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