医薬品業界や医療機器業界では、製造管理と品質管理等に関わる記録を、Excelやスプレッドシードで行っているケースも少なくありません。ただ、Excelによる記録管理にはいくつかの問題点があり、それが原因で査察時に指導を受ける事態になることも考えられます。
特に監査証跡がとれないのは大きな問題で、米国食品医薬局(FDA)のガイドライン「21 CFR Part 11」や厚労省の「ER/ES指針の遵守」において、データインテグリティに問題ありと判断されてしまいます。
Excelなどの電子記録では、もう一つ気をつけなくてはならないことがあります。電子記録と紙媒体の手書き署名の両方を用いたハイブリッド運用では、電子記録を先に作成してしまうとデータの信頼性がないと疑われてしまうのです。なぜなら電子記録で作成した後に改ざんし、再印刷したうえで署名ができるからです。
こうした疑いをもたれないようにするには、入力後すぐに印刷し、当日の日付で署名します。また、入力したExcelは削除せずファイル日付を変更しません。もちろん、セキュリティでしっかりと保護された環境で管理することは言うまでもありません。
スプレッドシートのテンプレートなどを使用する場合、通常ではファイル形式で保存することができます。ただ、誰でも変更することが可能なので、使用するテンプレートは特定の管理者しか触れないようにします。
計算式が入力されたシートやセルは入力不可もしくは閲覧不可にして、データを入力するセルしか操作できないようにします。また、マクロプログラムの表示や修正は、特定の人しかできないようにパスワードでロック。スプレッドシートはサーバーに保存し、ファイルへのアクセス権を設定するなどの対策をおこないます。
そして、スプレッドシートのマスター管理者は、定期的にスプレッドシートの利用状況を確認し、計算式などの改ざんがされていないか確認するようにしましょう。
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