電子生データはどのように管理・運用すればよい?

電子生データの取り扱いの
注意点

電子生データの原本の定義を
しっかりと定める

生データとは、それ以前に記憶がない初めての記録データをいいます。電子データはコピーで劣化することがないので、コピーした分も生データになります。そのため、コピーと本来の原本との判別が難しくなるといった問題があります。

例えば、子機(SDカード)にデータがリアルタイムで保存されていて、かつネットワークを通じてサーバーにも常時記録体制がされているとします。この場合、SDカードとサーバーの両方が生データになります。

紙媒体ではこのようなことはないのですが、電子データでは複製が簡単にできてしまうため、生データが多数存在するようになります。正確なデータインテグリティの視点からはNGとなるので、電子データの場合では、どの時点のどのデータが生データであるのかをSOPで明確にしておかなければいけません

データインテグリティの要件を
順守

電子生データの原本はどの時点のものであるかを明確化するだけでなく、米国食品医薬局(FDA)のガイドライン「21 CFR Part 11」や厚労省の「ER/ES指針」の要求事項も順守しなければいけません。

監査では、記録の変更箇所がないか厳重なチェックを受けます。データをわざわざ変更するのには何かしらの理由があるとして着目し、その根本的原因を見るようにしています。

紙媒体と同じく、入力者の記載や変更が生じた場合の対応は電子データでも変わりません。等しくデータインテグリティの要件が適用されることに注意が必要です

そもそも
データインテグリティとは?
DI対応の基本と要点

EDCでは時系列での原本定義が
必要

臨床試験などでは、電子的に症例データを取得する方法としてEDC(Electronic Data Capture)が使われています。ただ、時系列的にデータの定義が変わるので注意が必要です。

電子症例報告原本は、治験実施中はサーバーのデータベースにあり、治験が終了するとDVDなどの電磁的記録媒体にPDF等のフォーマットで出力管理されます。社内保管後はファイルサービスやEDMS(Enterprise Document Management System)に登録した電子記録が生データになります。

ところがEDCのバージョンアップなど変更があった場合、その移行後の電子記録が生データになります。他にも災害時にディスクが破壊された場合はバックアップデータが生データになるなど、状況によって生データが変化します。

EDCではこうしたケースを想定し、時系列的に電子症例書原本をSOPで定義しておく必要があります。

当サイトでは、データインテグリティ対応を実現するための適切な手段として、システム導入による電子化・自動化のポイントを特集しています。合わせてぜひご覧ください。

医薬品製造現場における
データインテグリティ
対応のポイント

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