MP/GDP規制の発行について

GMPの規制当局(査察官)であるPIC/Sにより、2021年7月、MP/GDP規制下でのデータマネジメントとインテグリティに関する実践規範が発行されました。これまでFDAやMHRA、WHOなどもデータインテグリティのガイダンスを発行していますが、どのような内容なのでしょうか。

GMP/GDP規制下におけるデータマネジメントとインテグリティに関する実践規範

このガイダンスの主な目的は、GMP/GDP規制下におけるデータマネジメントに対して、査察官のガイダンスを提供することです。

良好なデータマネジメントでは、GMPにおける医薬品品質システム(PQS)のすべての要素に適用されると明記。GDPでは品質システムとなっています。

また、データインテグリティの原則を、電子記録だけでなく紙面での記録にも等しく適用されると明記されており、手書き署名も同様です。

データインテグリティの定義を「データが完全で一貫性があり、正確で信頼でき、データのライフサイクル全体にわたってデータの特性が維持される度合い」としており、まずはこの定義を統一のものとして認識する必要があります。

さらにデータマネジメントおよびインテグリティに関する実践規範の責任は、査察を受ける製薬企業側にあることと、データインテグリティを維持するためのデータガバナンスプラクティスを設計し実装する措置をとる責任があることもはっきり記しています。

GMP/GDPとは

GMP (Good Manufacturing Practices)は、医薬品の製造工程における製造管理と品質管理の基準のことであり、GMPを補完するものとしてGDPが生まれました。

GDP(Good Distribution Practice)とは、「医薬品の適正流通」のこと。GMPが製造において要求されていた品質保証の水準であるものが、GDPでは流通過程での保管や輸送プロセスまで拡大されています。

GDPとGMPはいわゆる補完関係にあり、製造過程で厳密に行った品質管理を、輸送過程でも厳密に行い、市場に安心で安全な医薬品を届けることを目的としています。

PIC/Sについて

PIC/Sとは、Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)の略です。医薬品分野において国際的に調和されたGMP基準および、査察当局の品質システムの開発・実施・保守を目的としており、査察当局間の枠組み。

非公式ですが1970年10月に結成され、2014年7月には世界43カ国が加盟しています。日本も2014年7月に加盟しました。

PIC/Sは加盟している当局間の協力関係を強くしつつ、GMP基準の国際化を推進していますが、法的な拘束力は持っていません。

しかしながら加盟当局が増えた昨今では、PIC/S-GMPは国際標準と考えられており、日本でもこれに準拠した製造管理や品質管理が求められています。

そもそも
データインテグリティとは?
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