リスクベースドアプローチとは

医薬品製造はグローバル化が進み、リスクマネジメントの考え方を取り入れた品質管理に基づく電子記録・電子署名が求められるようになりました。リスクマネジメントでは、リスク評価を「重篤さ×頻度」で行います。

リスクベースドアプローチとは、リスクマネジメントの考え方を品質管理に取り込み、リスクベースに基づく科学的に妥当な管理方法のこと。具体的には、リスクの高い医薬品の製造については、それなりのコンプライアンスコストをかけなければいけないが、リスクが低いレベルの医薬品の場合、そのレベルに相応したコンプライアンスコストで良いという考え方に基づくアプローチになります。

リスクベースドアプローチにより、医薬品製造の品質管理の現場では、余計な電子文書の作成を省くことができ、品質管理のコストを削減できます。

リスクベースドアプローチが求められる理由

医薬品は人の健康に大きく関係しているため、安全性や品質には厳しい管理が要求されます。そのため、規制当局は製薬会社を厳しく規制してきた経緯があります。

規制当局でも、医薬品の承認審査や製造所の査察を行うときに多くの手間と時間をかけることで規制コストが増えてしまいます。また、医薬品製造所でも厳重な品質管理を行うため、コンプライアンスにかかわる費用が重くなります。

無駄なコストを省くことができるリスクベースドアプローチを採用することで、医薬品製造に関わる品質管理の効率化が可能になるため、規制当局と製薬会社ともにメリットになります。

リスクベースドアプローチの効用

それでは、リスクベースドアプローチを取り入れることでどのような効用が生じるのかを考えていきます。

意思決定が明確になる

組織の意思決定にはリスクが伴います。リスクを踏まえたうえで目標に達するという考え方が文化となり、リスクへの対応も明確になります。リスクを考慮した上で行われる組織の意思決定は、未来の責任をはっきり意識させるものとなるでしょう

発生した事象に対する注意力が
生まれる

発生した事象に対して注意を払うことで、小さな事象から大きな失敗につながらないようにする考え方が組織の文化になります。 そのため、大きな事故を未然に予防する効果も生まれます。

まとめ

医薬品製造の品質管理にリスクベースドアプローチを取り入れることは、規制当局と製薬会社の双方に有益です。リスクベースで考えるとは、起こりうるリスクの重篤さと頻度を考慮することです。そのため、品質管理の業務でも比較的リスクが高い項目を重点的に管理し、その記録を残すことになります。その前提として、データインテグリティが保証されたコンピュータ化システムにより検出されていることが重要なポイントとなります。

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医薬品製造現場における
データインテグリティ
対応のポイント

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