データインテグリティ(Data Integrity:DI)とは「データ完全性」と呼ばれるものです。米国食品医薬品局(FDA)では、完全一貫性の正確なデータと定義しています。少しでも相違性が見られるデータは削除して正確なデータだけを残し、データの不正利用を予防しています。
データインテグリティが重要視されている理由は、データ改ざんや偽装などの不適切な行為から正確なデータを守るためです。製薬業界でも、世界レベルでデータにまつわるトラブルが多発しており、米国食品医薬品局(FDA)では、データインテグリティに関する指摘をした警告書 (Warning Letter)が続出しているほどです。
医薬品の品質と安全性、有効性を裏付ける正確なデータがなければ、流通先に問題を起こすようになり、ひいては製造・販売元である企業も大きなダメージを受けることになります。
医薬品の製造ではデータインテグリティの要件でもあるALCOA原則が指針となっています。
さらに、この5項目に4項目(Complete/完璧性、Consistent/一貫性、Enduring/永続性、Available/可用性)をプラスした「ALCOAプラス」が求められる場合もあります。
データインテグリティが順守されているかどうかは、「SOP(標準作業手順書:Standard Operating Procedures)」による手順管理と、デジタルによる技術管理で判断されます。
手順管理では、監視されている状態において、SOPによるトレーニングに従った行動がされていることを記録します。
技術管理も手順管理と同じく監視されていることには変わりはありませんが、データを削除・偽装・損失から守る記録の保護、適切なユーザーによるアクセス管理、作成したファイルの変更・実行をすべて記録する監査証跡、署名者・日時・理由を消去不可にする電子署名、生データと分析結果を厳重に保管するレポート機能をこなします。
薬事監査では「文書化されていなければ、実施されていない」と言われています。企業へデータの信頼性と正確性が求められていることからも、データインテグリティはALCOA原則に沿ったものであることが要求されているのです。