電子カルテデータの取り扱いについて

このページでは、データインテグリティの観点から考える電子カルテデータの取り扱いについて詳しく解説しています。適正に信頼できる電子カルテデータを構築する上で、どのようなポイントに気をつけるべきか、改めて考えておきましょう。

FDAが考える電子カルテデータの取り扱い

米国FDAでは電子カルテデータの取り扱いに関して、2016年にガイダンスとして「Electronic Source Data in Clinical Investigations」を発行しており、電子カルテシステムとデータの取り扱い方や管理基準についてそれぞれの内容を定義づけました。

同ガイダンスでは、電子カルテデータを電子カルテシステムから転送する場合、電子カルテを原データとすること、さらに原データの信頼性や品質、完全性を明確化するために適正な管理を実行される必要があることなどが定められています。

また、2018年にさらなるガイダンスとして「Use of Electronic Health Record Data in Clinical Investigations」が発行され、治験依頼者と実施医療機関の協力体制や電子カルテシステムとEDCシステムとの相互運用といった点が具体的に推奨されました。

参照元:【pdf】Guidance for Industry
(https://bunzen.co.jp/manage/wp-content/uploads/2019/04/BZLib-114_FDA_eSourceData_r4.pdf)

EMAが考える電子カルテデータの取り扱い

EMA(欧州薬品庁)では2010年に電子カルテシステムに関してガイダンス「Reflection paper on expectations for electronic source data and data transcribed to electronic data collection tools in clinical trials」を発行し、電子カルテシステムがGCP要件に対してどの程度まで適合しているか判断するためのアセスメントの実施や、適切な是正措置の実行といった基準が明確化されました。

具体的には同ガイダンスにおいて以下のような評価項目が例示されています。

  • 電子カルテの変更や改変の可能性の有無。監査証跡の有無。
  • 被験者を除く患者の医療記録に対するアクセスの遮断。情報管理の体制。
  • 電子カルテデータの複写について完全性の検証や担保。

参照元:【pdf】Reflection Paper
(https://bunzen.co.jp/manage/wp-content/uploads/2019/10/BZLib-101_EMA_RP_r1.2.pdf)

厚生労働省が考える電子カルテデータの取り扱い

厚生労働省では2014年に「「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について」を発行し、改めて電子カルテシステムや実施医療機関に関連した運用ルールなどを示しました。

例えば、実施医療機関として電子カルテシステムを導入する場合、常に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の基準と規則にもとづいた適正な運用が行われているという前提の下、治験関連文書の電磁的記録としての保存が認められています。

加えて2017年には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」が刷新され、e-文書法への対応や医療情報システムの安全な管理といった点に関して、技術面や運用管理面での対策や基準が明示されました。なお、同ガイダンスには電磁的記録・電子署名要件、セキュリティ要件といった項目も含まれております。

参照元:厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275.html)

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