トレーサビリティとは対象となる製品の製造工程において、誰が・いつ・どこで作業したのかといった情報を確認できるよう、関連工程の詳細がきちんと追跡可能に保たれている状態です。データインテグリティを確保する上で、トレーサビリティは製造工程や製造品質を照明する重要なポイントであり、トレーサビリティが考慮されていなければデータの完全性は認められません。
このページでは、トレーサビリティについて詳しく解説しています。
トレーサビリティとは製造業において、製品ごとに製造工程の詳細を全て追跡・確認が可能。システムや体制が確保されている状態です。単に工程の流れをまとめているだけではなく、製品に関して作業担当者や作業時間。作業した内容や変更点といった詳細が全て管理できるようになっていなければなりません。
トレーサビリティが整理されていない場合、製造工程の途中でデータの改ざんや不適正な作業が行われた疑いを払拭することができず、データインテグリティを確保することも不可能となります。
誰が作業や工程を担当したのか把握するために、製品やロットごとに個別IDを付与して、関連したデータを収集できるシステムを構築しておくことが大切です。
個別IDを付与する手段や内容としては、シリアルナンバーやバーコード、QRコード、RFIDなど複数のものが考えられます。ID追跡を行えるシステムと合わせて検討することが大切です。
管理システムによる一元管理で複数のIDのトレーサビリティを確保することで、不具合品が発生した場合も速やかに抽出・追跡することができます。
製造した医薬品に異常が発見されたり、製造ラインに不備があったと発覚したりした場合、関連した個別IDを速やかに特定・抽出。製品を除外・回収すると共に必要な情報一覧をまとめなければなりません。
また、個別IDにもとづいて各製造工程の詳細を確認し、どの時点で異常や不具合が発生したのか原因を究明することも重要です。
当然ながら発見されたIDに関する不具合だけではなく、その他のIDに関してもリスクを分析します。
問題が発生した際に正確かつ迅速に対処できるように備えます。日頃からトレーサビリティが適正に確保されているのかチェックする体制も構築しておかなければなりません。
個別IDを追跡・データ収集するシステムや設備が正確に動作されているか、運用手順や管理マニュアルを作成して情報を共有します。またモニタリングや内部監査によってトレーサビリティの精度を客観的にチェックすることも大切です。
なお監査内容に関しても第三者へ論理的に開示し説明できる状態を整えておきましょう。
医薬品の製造工程において、その医薬品の品質や安全性が信頼できるかが鍵です。各工程が適正に動作して想定した通りの作業が実施されていることを客観的に証明できなければなりません。トレーサビリティは全体の流れを把握するだけではなく、各工程の詳細をチェック。製品管理の正確性を担保するために重要です。
トレーサビリティを導入・運営することで、製造した医薬品の品質や安全性に根拠を付与。また、問題発生時に迅速かつ的確な対処をすることができます。