医薬品製造でもコンピュータの利用は進んできましたが、コンピュータの問題で事故も発生しています。医薬品製造に関わるコンピュータが正常に作動することは不可欠であるため、その妥当性を確認し検証することは重要です。
ここでは、医薬品GMPのコンピュータ化システムとそのバリデーションについて考えていきます。
2012年に施行された「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」は、GAMPなどの世界標準との整合性をはかり、GMPにおけるコンピュータ化システムの取り扱いについて明確にしています。
自社のルールであるコンピュータ化システム管理規定を定めることが必要です。コンピュータ化システム管理規定には、(1)規定の適用範囲、(2)システムを一元管理するシステム台帳の作成と更新手順、(3)カテゴリ分類と実施プロセスの定義、(4)サプライやアセスメントの手順、(5)開発、検証、運用の体制、(6)対象文書と承認手続きを記載することが求められます。
自社の管理規定に沿うコンピュータ化システムの開発を進めます。設計、制作、テスト、受入試験までを行い、導入の段階でコンピュータ化システムが要求事項を満たすかどうかを検証します。
コンピュータ化システムの運用を開始し、要求事項に必要な記録を取る作業を行います。運用時は常にコンピュータ化システムの妥当性が確認された状態を維持することが求められます。
CSV(コンピュータ化システムバリデーション)とは、コンピュータ化システムが自社の定めた要求事項に沿うかを検証することです。バリデーション計画を定めて実施し、分析機器だけでなく、ソフトウェアの検証も行うことが必要です。
サプライヤーに依頼する場合は、手順や評価基準を事前確認し、承認されていることが必要です。そして、結果の確認も適切に行います。他に依頼した場合でも査察時に自社従業員が説明できるようにしておくことが必要です。
GMP省令で、医薬品製造企業はコンピュータ化システムの構築とそのバリデーションを行うことが求められています。厚労省が作成した「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」を理解し、その内容に沿うコンピュータ化システムを構築することが必要です。
また、コンピュータ化システムは常にバリデートされた状態を維持することが必要であるため、バリデーション計画に基づく検証を行うことも要求されています。医薬品の安全性の確保のため、コンピュータ化システムの構築とその検証は重要性を増しているといえるでしょう。
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